環境
環境問題の基礎知識
氷河湖決壊洪水 (ひょうがこけっかいこうずい)
2010/08/09 更新地球温暖化がもたらす問題として、標高が低い島国ツバルなどで海面上昇の影響が問題となっているのは有名な話だが、一方で標高が高く国土のほとんどがヒマラヤの高山地帯というネパールやブータンではどんな問題が起こっているかご存じだろうか。
国連環境計画(UNEP)は、ヒマラヤの高所にある氷河湖のうち少なくとも44カ所が、温暖化の影響を受け5年から10年の間に決壊するおそれがあると警告する。
氷河湖とは、山に積もった雪が固まり氷河となり、山を削りながら時間をかけて流れる際にできる溝に、溶けた水がたまってできる自然ダムのことだ。水をせき止めるのは、氷河が運んだ堆積物などである。
温暖化により雪が降らず、雨が降るため貯水量が増え、一定量を超えると氷河湖をせき止めていた堆積物を破壊し洪水を起こす。これが氷河湖決壊洪水だ。ちなみに、イギリス海峡は約20万年前に大規模な氷河湖決壊洪水によってつくられたと考えられている。
いったん洪水が起こると、下流に生活する何万人の命を奪い、家畜、農地、すべてを破壊する。また、山の給水塔という役割が失われ、淡水システムが枯渇し、生態系を崩す。野生動物を含め人間の飲料水の供給も危機にさらされることになるのだ。
氷河湖決壊洪水を未然に防ぐため、排水により水位を低くする工事が実施されているが、実際は標高が高く、遠隔地となるため対策が進まないのが現状だ。
水位の上昇で40年ほどの間に面積が6倍になったものや、1992年と2007年の衛星観測の比較で長さが1.2キロメートルから2.0キロメートルに拡大している氷河湖など危険性を示す報告は相次いでいる。世界の向こう側、ヒマラヤで何が起こっているのか、この夏休みにじっくり考えてみたい。
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