環境
スポーツ競技エコ事情
排出物の90.5%を有効利用 ペットボトルは競走馬のゼッケンに!?
2010/10/06 更新競馬場の環境対策
秋。行楽のシーズン。まだ行き先を決めていない方にお勧めしたいスポット。それが競馬場だ。競馬はギャンブルのイメージが強く、競馬場といえば、ファンだけが足を運ぶ特別な場所と考えがち。しかし、実際の競馬場や場外馬券場では、年間を通して大人から子どもまで楽しめるイベントがいくつも開催されている。馬と触れ合うイベントはもちろん、広大な敷地を利用したフリーマーケット、花火大会、アスレチックなど、競馬場はいまや巨大なアミューズメントパークだ。
日本における現在の競馬史の始まりは1862年、日本野球史(1879年)よりも歴史は古い。始まりから150年近くたった今、時代の変化とともに競走馬や競馬場も進化を遂げてきた。
そして、環境への取り組みも同じように進化を遂げている。
段ボール、堆肥、菌床―― 適材適所のリサイクル
競馬界における環境分野の取り組みで最も重点が置かれているのは、リサイクル活動だ。
日本中央競馬会(JRA)では、競走馬の育成、レースの開催など競馬事業の活動を行うにあたって、紙ゴミや飼育施設の廃棄物といった多くの排出物が発生する。そこで、リサイクルを重視するJRAは、これら排出物のリサイクル率の目標値を90%とした「RAP90」(Recycle Action Program
90%)を策定。それぞれの排出物の種類に応じたリサイクル活動に取り組んでいる。
では、多くの観客が訪れる競馬場や場外馬券場のリサイクル活動から見ていこう。
これらの施設から出るゴミは、新聞紙等の紙ゴミ、缶・ビン・ペットボトルや弁当等の容器類など多種多様。それに対し、JRAでは一部の施設に分別ゴミ箱を設置。さらにレース開催競馬場では、スタッフが場内を回ってゴミを回収し、分別を呼び掛ける「クリーンキャンペーン」を実施している。
またバックヤードのある施設では、そうして集めたゴミをさらに細かく分類する作業も行われている。
そうして回収された排出物はさまざまな形となって競馬場で楽しむ人々の身近なところで活用されている。例えばペットボトルは、フレーク状に加工するなどいくつかの工程を経て再生ポリエステル綿として、競走用・調教用のゼッケンや清掃員・警備員の作業服の材料としてリサイクルされる。
競馬といったら馬券(勝馬投票券)。テレビ中継を見ているとゴールシーンに観客席からはずれ馬券が宙に投げられる光景をよく目にする。もちろん、これらの馬券もリサイクルの対象だ。まず投票の時に使用するマークカードは、投票所で回収しまとめて保管され、すべて上質紙などにリサイクルされる。そして払戻済みの馬券のほとんどは、段ボールの芯などにリサイクル。それぞれ素材の適性に合った再利用がなされている。
JRAの排出物の中で約80%を占めるのが馬屋のクッション用素材である馬房敷しき料りょうだ。競走馬にとって、脱臼や骨折は競走馬生命だけではなく、死にも直結する。その馬たちの足元を支える重要なもの。栗東トレーニングセンターでは、敷料として使用したウッドシェーブ(木を薄く削ったもの)は、発酵させて堆肥化し、土壌改良材やバイオマス発電の原料などに利用。また、美浦トレーニングセンターでは敷いた稲ワラ(稲を乾燥させたもの)を堆肥やマッシュルームの菌床としてリサイクルしている。
2009年におけるJRA全体の総排出量は約8万4000トン。このうち約7万6000トンがリサイクルされた。率にして90.5%にもなる。
一度捨てられたモノが、競馬場を彩る競走馬たちのゼッケンになり、安全や清潔を守ってくれる人たちの作業着になる。さらには、私たちの食卓に並ぶマッシュルームを育ててくれる。
より良い状態で競走馬に走ってほしい。より良い環境でその競走馬が走る姿を見たい。そうした気持ちがゴミの分別や動物保護の意識となって、私生活にも影響を及ぼせば、自然と地球環境の改善にもつながっていくのではないだろうか。
JRA公式ホームページ
http://www.jra.go.jp/
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