環境
解説 環境時事
国内排出量取引制度 [第4回]
2010/02/01 更新自治体による排出量取引制度
東京都 キャップ&トレード制度開始
これまで3回の連載記事で、国内排出量取引制度の概要、政府が進める国内クレジット(国内CDM)、オフセット・クレジット制度(J-VER)と順に解説を進めてきた。
第4回目となる今回は、東京都が2011年度より開始するキャップ&トレード制度を解説していく。
東京都は二酸化炭素(CO2)排出量を2020年度に2000年比で25%削減する目標を掲げている。この目標達成のための重要な施策のひとつが、世界ではじめてといわれる都市型のキャップ&トレードによる排出量取引制度である。
この制度では、都内の事業所に温室効果ガス排出量の上限(キャップ)が設定される。その上限を下回った排出枠の分量が、事業者間で自由に売買(トレード)できるようになる。
対象は、年間のエネルギー使用量(電気、熱、燃料)が1500kL以上(原油換算)の施設や工場、約1400カ所。
東京都が目指す25%削減の道筋には、第1計画期間と第2計画期間が用意されている。このうち第1計画期間では、2010年から2014年度の平均排出量を、算定された基準排出量(2002〜2007年度のうち、連続する3カ年を事業者が任意に選び、算出する平均排出量)から、最低8%もしくは6%削減する義務が課される。
8%削減が必要なのは事務所、百貨店、学校など。例えば事務所の場合、基準排出量が1万トンだと年間の削減義務量は、800トン、排出上限量(キャップ)は9200トンとなる。計画期間中の排出上限量は9200×5年=4万6000トンである。この量を超えた場合は、排出量取引で埋め合わせる。上限量を超過したままにすると罰則が適用され、削減不足量に1.3倍を加算した量が削減義務量になる。これにも違反した場合は、不足量に応じた金額の支払いが命じられる仕組みだ。
また東京都は2009年5月、「国際炭素行動パートナーシップ(ICAP)」の正式なメンバーとなった。ICAPはキャップ&トレードについて情報共有や共同研究を進め、国際的な排出権市場の創設を目指す組織。アジアの都市としては東京都が世界初の参加メンバーだ。こうした活動を通じ、東京都が大都市における低炭素型都市づくりのモデルケースとなるよう世界に向けたアピールが続けられている。
ただ、日本国内では、現在、複数の排出量取引制度が混在している状況だ。ガイドラインの違いによる排出量の相違(ある制度では1トンが、ほかの制度では1トンに換算できないなど)といった問題を解消する必要があるとされている。
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