環境

ECO Revolution

ウエットスーツ専用メーカーの提案
節電の冬は、やわらか湯たんぽで

2012/01/25 更新

2011年11月に経済産業省から今冬における電力需給対策が発表され、関西電力管内で10%以上、九州電力管内で5%以上の節電が要請された。今回はピーク期間・時間帯の使用最大電力の抑制とした。冬季は需要のピークが朝・夕の2回となるため、夏季に比べて節電は難しいとの声もある。節電要請を受け暖房の設定温度を低くするオフィスや家庭が増え、発熱・保温素材を使ったウォームビズ関連のアイテムに人気が集まっている。

そんな中、大分県国東市で、ウエットスーツの素材を使ったカラフルな湯たんぽづくりが着々と進んでいる。ヘルメット潜水株式会社が製造する「やわらか湯たんぽ」は節電意識の高まりもあって注文が急増。昨冬の倍にあたる約3万個を製造しようと例年より2カ月早い8月から作業を始めているという。同社代表取締役社長の伊賀正男さんを取材した。

同社は1982年の設立以来、ウエットスーツの専門メーカーとして製造・販売を行ってきたが、マリンスポーツ人口の減少とともに数年前からウエットスーツの販売が不振。一方で、ウエットスーツの生地は、断熱性・防水性に優れ、軽いという特性があり、その生地を生かした商品づくりを模索してきた。

4年前、マリンショップのオーナーから「冬場にシャワー代わりのお湯を入れる容器はできないか」と相談され、ウエットスーツの生地で保温性のある容器をつくることに。それがきっかけで伊賀さんは湯たんぽづくりをひらめいたという。しかし生地とは異なり、接合部の接着剤は耐熱性に優れていなかったため、縫合に1年近くも試行錯誤を繰り返した。お湯の注入口は特注で金型からつくる必要があるなど課題はあったが、これまで培ってきた縫製技術と、提携企業や大分県中小企業団体中央会などの支援を受け「やわらか湯たんぽ」は完成した。

「80℃くらいのお湯を入れるのですが、お風呂につかるのと同じくらいの体感温度になるよう生地の厚さを7ミリ程度に調整しています。生地はやわらかく、体のいろいろな部分にフィットして肌触りもいい。あらためて湯たんぽに適した材質だと感じました。また最近では震災の影響もあり災害時の活用法にも注目しています。例えば、中の水は緊急時の飲料水やトイレの水として、さらに単体でも空気を入れて枕代わりに使えるなど、汎用性にも期待しています」と伊賀さん。

1つずつ100%手づくりする「やわらか湯たんぽ」は、その使い心地と節電需要の影響もあり人気商品になった。手狭になった生産工場は2年前に移転。廃校になった地元の中学校跡地を有効利用し、地元の雇用促進にも貢献している。

「最初は保温容器の開発を始めましたが視点を少し変えるだけで節電用や災害用としても提案できる商品になりました。これからも喜んでもらえるものをつくり、社会に貢献する会社にしたい」と伊賀さん。つくり手の心がこもった「やわらか湯たんぽ」があれば、「節電の冬」も暖かく乗り切れるだろう。

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