環境
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自然災害に強いスマートグリッドとは
2011/10/24 更新
環境政策最前線
わが国の電力会社は、100年間にわたり、消費者からの厳しい要求である安価で、良質な電力を安定的に供給するための電力システムの形成に努めてきた。安価な電力を生産するためにスケールメリットを求め、100万キロワットを超える大規模な発電設備が建設され、必然それらは、福島や柏崎といった遠隔地に置かれ、規模だけではなく地域的な広がりを持つ盤石で巨大なシステムがつくり上げられてきた。しかしながら、今回の東北地方太平洋沖地震により、もろくも原子力および火力発電設備が損壊し、東京電力管内では、約1000万キロワットの供給力不足が発生したため、需要家群ごとに順次停電させる計画停電が実施された。さらに、思いつきとしかいえない政府の脱原子力への舵切りが電力不足を全国へと拡大させてしまった。
想定外の自然災害であったにせよ、このような大規模な電力不足を経験したことにより、家庭、事務所、工場、地方自治体は、電力会社に全面依存しない自前の電源を確保しておくことの必要性を痛感した。
その後、再生可能エネルギー特別措置法が成立したが、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーを導入すると、それらの出力変動により電力品質(周波数、電圧)が悪化すると懸念され、新たな電力供給社会インフラの考え方が必要となる。
地域自治体が主体となる地産地消型電力供給システムの開発においては、大規模で高価なネットワークを一度につくるのではなく、地域や市街地の特性に合わせた適正規模の供給ネットワークをつくり、必要に応じて随時ネットワークを増設し、相互間を連結してゆくという方式が適している。このような地域自治体所有の「おらが村発電所」を中心に、行政機関、病院、警察、学校、避難所、通信基地、高齢者住宅を完備すれば、自然災害時のライフライン(電気、水、通信)確保が可能なスマートグリッドとなる。この能力は「Resiliency:回復力」と呼ばれ、今後の社会インフラ構築の指針となり、この考えは、今進められている東北の被災地の復興にも活用されるべきと考える。
【横山隆一教授 プロフィール】
1944年生。1973年早稲田大学工学研究科博士課程修了。
工学博士。早稲田大学環境総合研究センター教授。
環境エネルギーシステムの計画・運用・制御に関する研究に従事。IEEJ、IEEE Senior Member、CIGRE会員。
早稲田大学大学院 環境・エネルギー研究科 横山隆一研究室
http://www.f.waseda.jp/yokoyama-ryuichi/index.html
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