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電気・エネルギー講座

低炭素社会実現のための技術開発

2009/01/01 更新

2008年6月9日、福田康夫首相(当時)は「低炭素社会・日本をめざして」と題した演説の中で、国内のCO2排出量を2050年までに60から80%削減するという思い切った長期目標を打ち出した。目標の達成には、エネルギー使用者(需要側)の省エネ努力などだけでは限界があり、エネルギー生産者(供給側)による抜本的対策が必要となる。
     
一方、2008年7月米国ピッツバーグで開催された電気電子学会・電力エネルギー国際会議(IEEE/PES)では、「原子力発電の復活」「再生可能エネルギーの有効利用」「電動車両」という三分野の話題に注目が集まった。この三分野はCO2排出量の大幅削減という日本の政策目標を大きく後押しするものと期待できる。本稿では、この三分野について解説と将来予測を試みていく。
   
一つ目の話題「原子力発電」ではチェルノブイリなどの事故以来、長く続いた冬の時代に終止符が打たれようとしており、CO2を排出しないという利点はもちろん、最近の原油不足と価格高騰への対応策となることが期待されている。日本原子力産業協会によると、世界で建設中の原発が43基、計画中は50基を超えるとのことだ。また今後も、米国において30基、インド、中国においては一40基の建設が見込まれるとされており、世界の三主要原発メーカグループの一角を担う東芝、日立、三菱重工では対応のための体制づくりが急がれている。
       
二つ目の「再生可能エネルギー」は、利用拡大への期待が大きく、資源エネルギー庁は、2020年までに太陽光発電1000万kW、風力発電500万kWを累積導入するという高い目標を掲げた。その実現のため、技術開発、導入支援、電力会社による余剰電力買い取りなどの自主的取り組み、RPS制度(2003年度から)等によって、総合的に新エネルギーの導入促進に踏み切っている。現在これらの取り組みは、一定の成果を上げている。
      
三つ目の「電動車両」は、新技術の転換が望まれる自動車の分野。自動車は、わが国の石油の35%を消費し、CO2排出量の2割弱を占める。化石燃料の消費量とCO2排出量の少ない次世代自動車への転換は不可欠だ。長期エネルギー需給見通しの最大導入ケースは、次世代自動車に関して、2020年には自動車販売台数の約50%、2030年には約70%と極めて高い水準で、これを実現するには、関係各所の多大な努力とコスト負担が必要である。
     
わが国の政策目標「国内のCO2排出量を、60〜80%削減」が実現した暁には、すべての電気を再生可能エネルギーと原発で発電し、電気を大規模電力貯蔵装置に蓄えて安定供給し、ほとんどの自動車は電気で走る時代になっているかもしれない。
      
   

【横山隆一教授 プロフィール】
1944年生。1973年早稲田大学工学研究科博士課程修了。
工学博士。早稲田大学環境総合研究センター教授。
環境エネルギーシステムの計画・運用・制御に関する研究に従事。IEEJ、IEEE Senior Member、CIGRE会員。
    
早稲田大学大学院 環境・エネルギー研究科 横山隆一研究室
http://www.f.waseda.jp/yokoyama-ryuichi/index.html

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