電気
電気・エネルギー講座
低炭素社会における電動車両の役割
2008/10/01 更新我が国の政策目標である国内のCO2 排出量を今後60から80%削減(2008年6月9日、福田康夫内閣総理大臣の講演「『低炭素社会・日本』をめざして」)が実現した暁には、石油は石油製品の製造にまわし、すべての電気を再生可能エネルギーと原発で発電し、その電気は大規模電力貯蔵装置に蓄えて安定供給するようになるだろうといわれている。さらに、ほとんどの自動車は電気で走る時代になるとも予測されている。
自動車は人々の生活になくてはならないものとなって早一世紀が過ぎようとしているが、この輸送分野における地球温暖化防止対策は緊急の課題である。
世界に目を転ずれば、世界の人口は2050年に100億人に達するといわれており、2000年では七億台であった自動車保有台数も、2050年には、BRICs(ブリックス:ブラジルなど経済成長が著しい新興国群)の 台頭により250億台に達するであろうと考えられている。このようなことから、世界は確実にモータリゼーション化が進み、それに伴う大気汚染とCO2 排出による地球温暖化の懸念が増している。
そうした背景を鑑みて自動車は、その燃料を化石由来のものから新たなエネルギー源へと変革する時期に来ているといえる。そんな状況の中、普及が急がれているのが、いわゆるクリーンエネルギー自動車(CEV)である。1990年のカリフォルニア州政府のZEV規制(ゼブきせい:販売する自動車の一定割合を無公害車にしなくてはならない規制)に始まった合衆国の本格的な姿勢もCEV導入の起爆剤となった。
究極の非排出ガス自動車(ZEV)は電気自動車であるが、その橋渡しの形として、現在はハイブリッド自動車(HEV)の積極導入が進められている。我が国の自動車メーカー各社はいち早くHEVの実用化を進め、現在プラグインハイブリッド自動車(PHEV)およびZEVについてもイニシアチブを発揮する位置にある。
我が国は、これら電動車両の普及における今後の対応についても、さらに先進的なイニシアチブを発揮するべきであろう。そのために推進すべき開発案件は、軽量・高エネルギー密度・長寿命の車両用バッテリー、大容量電力貯蔵装置を備えた急速充電インフラの開発、それに充電設備の適正配置などである。
また、電動車両を取り巻く周辺環境の課題としては、電動車両の普及が進むにつれ明らかになるだろう大型需要家(集合住宅等)への配電設備の対策、負荷平準化、高調波対策といった電力系統の対策、それらに関連する法制度の整備など。
開発案件と課題、いずれも我が国がこの分野で先進的役割を果たすための重要な要素であろう。
【横山隆一教授 プロフィール】
1944年生。1973年早稲田大学工学研究科博士課程修了。
工学博士。早稲田大学環境総合研究センター教授。
環境エネルギーシステムの計画・運用・制御に関する研究に従事。IEEJ、IEEE Senior Member、CIGRE会員。
早稲田大学大学院 環境・エネルギー研究科 横山隆一研究室
http://www.f.waseda.jp/yokoyama-ryuichi/index.html
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