電気

電力事情

電力小売り自由化開始から10年 活発な議論の再燃を望む

2010/01/12 更新

2010年。ついに、日本で電力小売り自由化がスタートして丸10年が経過しようとしている。
2000年3月21日、わが国の電力小売り自由化はスタートした。特別高圧受電の需要家が自由化対象となり、一般電気事業者に加えて特定規模電気事業者と呼ばれる新規参入者からの電力調達が可能となった。

その後、2004年4月1日以降、需要規模500kW以上の高圧受電需要家が自由化対象となり、2005年4月からは高圧受電の需要家全体に自由化対象範囲が拡大した。また、この年には卸電力取引所も開設され、2007から2010年には家庭用需要家まで含めた全面自由化が実現するのではないか、と期待のふくらむ年であった。そして、2005年以降も細かいところでさまざまな制度や運用の見直しが実施されてきた。 しかし、2009年10月現在で最も新規参入者への契約切り替え者が多い東京電力管内でも、自由化対象需要に占める新規参入者の契約電力の割合は、5から6%程度であり、全国でみると依然として2.5%程度にしかならない。2005年時点での新規参入者の市場シェアが2%弱、2007年時点でのシェアが2.37%といわれていたことを考えあわせても、この5年間では、ほとんど伸びを示していないことがわかる。特に、北陸電力、四国電力、沖縄電力の管内は10年経過した現在でも新規参入が「ゼロ」という状態だ。


料金面は、どうであろうか。1997年には約17円/kW時であった電力の平均単価は、断続的に低下傾向にあり、2005年には約13.5円/kW時と20%以上も値下がりをみせていた。だが、その後は2007年まで横ばい傾向にあり、2008年は燃料価格の高騰もあって、15.21円/kW時まで上がっている(出所:資源エネルギー庁資料)。


燃料費の高騰や世界経済の落ち込みなどの外部要因もあるが、2007年に自由化範囲の拡大が当面見送られるという結論が出されて以降、電力小売り自由化は議論自体されることが少なくなり、市場における将来の改革への期待感も薄まっているというのが現状ではないだろうか。
自由化開始当初を思い起こせば、電力小売り市場活性化のためには、一般電気事業者による域外供給の活発化が必要不可欠だと、大きく期待されていた。しかし、現実には10年たっても一般電気事業者が他の電力会社の供給エリアで積極的に営業活動をしているという話すら聞いたことがない。また最近では、一般電気事業者による区域外供給ということについての議論すら、ほとんどなされなくなってしまったように思われる。

しかし、ここで敢えて再度訴えたい。日本の電力小売り市場は、各電力会社の供給区域ごとにみた場合には、地元の電力会社による独占状態が続いているのであり、日本全国を一つの市場としてみてはじめて適度な競争状態にある。

したがって、新規参入者である特定規模電気事業者が何社増え、どれだけの需要を各電力会社のエリアで契約切り替えさせることができたかというだけでは、電力小売り自由化の評価はできない。ここに一般電気事業者による区域外供給が活発に行われるというファクターが加わってはじめて、その効果がみられるし、また制度設計上の問題も浮上してくるだろう。そこで一歩踏み込んだ制度設計のための議論が可能になると考える。 電力小売り自由化開始からちょうど10年。民主党政権により、温室効果ガスの削減目標が25%に引き上げられ、太陽光、風力、小水力、バイオマスといった自然エネルギーの利用に対する重要性が高まっている。また、世界的にはスマートグリッドや電気自動車・ハイブリッドカーに対する注目が高まるなど、技術革新も起こっている。
このような外部要因も考慮に入れたうえで、今後の日本の産業・経済発展のために適正な電気料金の水準と自然エネルギーに対する適正な価格設定、送電系統利用上の優遇措置なども含め、わが国の持続可能な発展のためにあるべき電力市場の姿の議論が再開されることを期待する。
(スペクトルパワーデザイン株式会社 村上晶子)

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