電気

電力事情

国民参加型の太陽光発電拡大の負担 現行制度が抱える問題点

2009/07/12 更新

「ダブル発電」という聞きなれない言葉が、昨今新聞紙上で取りざたされている。
 ダブル発電とは、一般家庭において太陽光発電と自家発電設備(家庭用燃料電池やガスエンジン発電など)を両方設置することを指す。ダブル発電の場合、自家発電設備で発電された電気が優先的に自家消費されることで、太陽光発電による余剰電力が、太陽光発電のみ設置している場合に比べて増えることになる。
 このダブル発電を提唱し、自家発電設備を中心となって販売しているのはガス会社である。自家発電設備の燃料がガスであるところから、オール電化に対抗しているところであるが、これがなぜ問題になっているかというと、政府が「太陽光発電の新たな買い取り制度」の実施を決めたからだ。


 2008年7月に閣議決定された低炭素社会づくり行動計画で、太陽光発電について、「導入量を2020年に10倍、2030年に40倍にする」という導入目標が課されており、またそのために「3〜5年後に太陽光発電システムの価格を現在の半額程度にすることを目指す」というコスト低減目標が課されている。「太陽光発電の新たな買い取り制度」は、これらの目標達成のための具体的な措置として打ち出されたという(2009年3月26日総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会「太陽光発電の新たな買取制度について」より)。


 本制度の最終目的が「温室効果ガス削減」であり、そのための「太陽光発電の普及」に向けた具体的措置であることを考えれば、ダブル発電であろうとなかろうと、太陽光発電が増えれば問題ないのではないか。
 日本国内で消費される電力量が一定であるとするなら、一家庭で太陽光発電された電力が優先的に消費されるかどうかは大きな問題ではなく、日本全体で消費する電力量に占める太陽光発電の割合が増えればよいはずだ。ダブル発電による電気まで買い取ると、余剰電力量が増加し、国民負担が増えるというが、もしダブル発電によって太陽光パネルを導入する家庭が増えれば、それだけ太陽光発電が普及することになり、従ってコストが早く下がることも考えられ、国民負担が増えると一概にはいえないのではないか。
 また、ダブル発電かどうか、という問題以前に、この買い取り制度のコスト負担方法に問題はないのだろうか。


 本制度下では、太陽光発電の導入拡大のためのコストは、「国民の全員参加型で負担していく」とされている。具体的な方法は、太陽光発電の自家消費を超える余剰電力を対象として、国が法令で定める買い取り価格と買い取り期間に基づいて、一般電気事業者(いわゆる電力会社)が買い取ることが義務づけられるという。具体的な買い取り価格だが、当初は2007年度時点の太陽光発電の発電コストである49円/kWh時が水準として示されている。これは、現在電力会社が一般家庭用向けに買い取り価格として設定している価格の約2倍に相当する。
 このように、電力会社が太陽光発電の余剰電力を買い取る費用は、当然電気料金に反映されることになり、これが「国民全員参加型」で費用負担をする方法ということになる。 太陽光発電の普及が温室効果ガス削減のために重要な政策であることは間違いないだろう。しかし、そのやり方に問題はないのだろうか。特に大きな問題と考えられるのは、買い取り価格および期間が国によって定められ、それに従って電力会社が買い取るという仕組みである。


 まず、買い取り価格は当初49円/kWhレベルに設定される。これが太陽光パネルの設備および設置費用の回収を可能とする価格水準だとすると、パネルメーカーの価格設定に大きく影響を与えることになる。これはパネルメーカー間の競争を阻害するおそれがあり、結果、価格が下がるスピードを緩める結果となる可能性が否めない。
 次に、電力会社に買い取り義務を負わせ、そのコストが電気料金に反映され、結果として、広く薄く国民全体で負担するという方法では、太陽光発電にかかる費用と電気料金アップによる国民の負担額の比較ができず、公平感が得られにくいのではないだろうか。
 さらに、余剰電力の買い取り先が電力会社に限定されているという問題もある。太陽光発電の余剰電力は、いったん電力会社に買い取られ、転売されることになるが、電力会社が余剰電力を転売する権利を自動的に持つ仕組みにする必要はあるのだろうか。


 現在、日本には卸電力取引所という電力取引市場もある。太陽光発電増加に伴う原価の上昇分を広く国民が負担するというのであれば、例えば、こういった取引所の機能を活用し、取引の透明性を高めることもできるはずだ。国民が納得して太陽光発電の普及費用を負担する仕組みが求められている。
(スペクトルパワーデザイン株式会社 村上晶子)

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