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スマートグリッドが変える電力事情――インターネットや携帯電話と同様の変革をもたらすか

2009/10/15 更新

電力業界に新たな変革が生じようとしている。
2009年1月、米国にてオバマ大統領が誕生した。このオバマ政権が掲げる「グリーンニューディール政策」の最重要課題ともいえるのが、昨今新聞紙上をにぎわしている「スマートグリッド(次世代電力網)」だ。


「スマートグリッド」とは何か。直訳すれば、スマート=賢い、グリッド=送電網、つまり「賢い送電網」ということになる。従来の送電網といったい何が違うのか。
従来の送電網は、発電所から電力の需要地までをつなぎ、電気を送電する役割を果たすものだった。これに対し「スマートグリッド」は送電網と情報技術(IT)を融合し、発電所と需要地の双方向に電力のみならず情報もやりとりすることができる送電網のようだ。
    


まず、「電力を双方向にやりとりする」とは、どういうことか。
日本においては、すでに家庭において太陽光発電により発電された電力のうち、自家消費を上回る分については電力会社が買取る仕組みができている。つまり、太陽光パネルを設置している家庭は、送電線を介して電力の「受け手」であると同時に「送り手」でもあるといえる。 それならば、既存の送電網でも対応できるではないか、と考えるところだが、今後より一層再生可能エネルギーの導入を促進するためには、送電網の設計について、従来のように、「大型の発電所から多くの需要家に電気を安定的に送る」という仕組みから、「数多く点在する小型の発電設備でつくられた電力を効率的かつ安定的に需要家に送電する」という仕組みへと大きな転換が求められるようだ。
    

次に、「情報を双方向にやりとりする」とはどういうことか。
「賢い送電網」が構築されると同時に、需要家側には「賢いメーター(スマートメーター)」が設置されるというのが現在の構想だ。スマートメーターの導入により、電力需要は「見える化」され、我々は常時自宅のテレビ画面で、今どのくらいの電力を消費しているかを見ることができるばかりか、使用量が一定レベルを超えた場合に警報音を出すということが可能となる。
 さらには、例えば送電網全体で需要がピークに近づいた際、家庭のエアコン設定温度が送電網を介して自動的に調節されるなど、家電製品をコントロールし、消費電力量の抑制を図ることまでできるようになるという。
     

これまで大口の需要家は独自にこういった仕組みをとっていることもあったが、それが家庭でも可能になるということは、電気料金体系や電力会社のサービスといった面でも様々な影響がでてくることは必至である。
さらに、プラグインハイブリッド車や電気自動車の普及という要素がここに加わる。家庭で自動車を充電することが一般的になれば、これまでの電力需要とはまったく異なる要素となり、この充電管理のうえでもスマートグリッドは必要と考えられるようだ。 通信の世界に携帯電話やインターネットが登場し、我々の生活が大きく変化したように、家庭で発電ができる太陽光発電や燃料電池、スマートグリッドやスマートメーター、プラグインハイブリッド車や電気自動車の普及により、近い将来、我々は「電気の使い方」や「電気を使う」ということの捉え方までも、大きくシフトすることが予感される。
    

しかし、日本では政府・電力会社共にこのスマートグリッド構想に対し、欧米のような積極姿勢をみせていないようだ。その背景として、これまで送電網に対する設備投資が十分になされてこなかった米国とは異なり、日本ではこれまでも電力会社が送電網の拡充に十分な設備投資をしており、停電率が非常に低いことや日本の送電系統システムはすでに高度化されているという現状があるようだ。従って欧米で進められているようなスマートグリッドは不要とする声が少なくないという。
   

そこで、日本では太陽光発電の普及との関係において、日本型スマートグリッドの開発を本格化する方向だという。スマートグリッド構想自体、まだ確固たるかたちができていない現状だが、電力市場活性化の起爆剤となることを期待したい。
    
(スペクトルパワーデザイン株式会社 村上晶子)

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